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Topics 平成20年(2008年) 岩手・宮城内陸地震 (in Japanese) ✏ 2008/06/14 掲載
●赤色は研究者向けにまとめられたコンテンツです。
概要 背景 現在の地震活動 地震活動の特徴 メカニズム解 地震波 強震動 震源過程 断層モデル 地殻変動 関連リンク コンテンツ一覧

█ 地震活動の特徴

は研究者向けにまとめられたコンテンツです。
█ 余震活動

█ Double-Difference法によって求められた震源分布
DD震源分布 断面図

   上の図は,2008年6月14日8:00から16日0:00までに発生した地震を対象に, Double-Difference法[Waldhauser and Ellsworth, 2000]により再決定した震源分布です。 10枚の断面図は,地図中の黒枠で囲った10領域(a ∼ j)にそれぞれ対応します。 断面図中のは,M4.5以上の地震の震源位置を表します。 "D90%" は,この深さよりも浅い領域で90%の地震が発生している深さを表しており, 地殻内で地震を起こし得る深さ(地震発生層)の下限に相当すると考えられています。 本震を含むd領域では,約45度で西に傾斜する地震活動が2面並行に存在するように見えます。 この活動は,本震のメカニズム解の節面と整合的です。 また,その浅部延長には,産総研などにより報告された地表地震断層が存在します。 震源域よりも北部(領域 a ∼ c)では,地震発生層のほぼ下限(D90%; 断面図中の水色の領域) 周辺で活発な地震活動が観測されています。 西側の活動が浅くなる傾向にありますが,地震活動はいくつかのクラスタ(かたまり)を形成しており, それぞれは,北西方向(図の左側)に傾斜しています。 岩手県側に比べ,宮城県側(領域 f ∼ j)の余震活動は低調です。 主な活動は,余震域東端(距離5 km付近)の地震発生層下限付近に存在しますが, この地域には定常的な地震観測点が存在しないため, 震源の深さが正確に推定出来ていない可能性があります。 したがって,この地域で発生する地震活動の深さは,現在実施されている 岩手・宮城内陸地震緊急観測グループ による臨時地震観測の成果によって,今後改訂される可能性があります。 浅い活動は,北側同様,西方に傾斜している特徴が見えます。

※ 本データ解析には,東北大学・川渡観測点の波形データを使用させて頂きました。記して感謝いたします。


█ 震源域直上に存在するHi-net・一関西 (N.ICWH) 観測点の震源決定への貢献
震源分布 断面図

   防災科研Hi-netの一関西(N.ICWH)観測点は,ネットワークならびに電力の障害のため, 本震直後よりリアルタイム・データ伝送が停止しましたが,観測点に設置された電池を使用して, 停電以後もしばらくデータ収録を継続していました。 一関西観測点のデータが欠測している状態で,Hi-netにより決められた震源の分布を断面図の最上段に示します。 図中,は,本震を表します。 余震分布(○)に比べて,本震の震源だけ少し浅く求まっています。 これは,本震時だけは,一関西観測点においてもP波とS波の到着を観測していましたので, 本震の震源決定にのみ当該観測点のデータを使用したことが原因です。 現地にて回収された一関西観測点の連続波形データを追加して,震源再決定を行った結果を断面図の下段に示します。 一関西観測点直下周辺(距離0 km付近)に求まっていた余震活動が2 ∼ 5km程度浅くなり, 本震()を含む領域に移動しました。 このことは,定常観測点のみで求められた震源分布は,観測点配置(観測点密度)による影響が小さくないこと, 震源域内で観測を実施することの意義を表しています。
   なお,ここで示した断面図は,Double-difference法で再決定した震源分布でのd,e断面に相当します。

※断面図に表示されている震源の期間は,上段と下段で異なります。

◆一関西観測点に関する情報:

█ 余震活動中に見られる低周波卓越の地震

   2008年岩手・宮城内陸地震の余震活動中に,通常の地震に比べ, 低周波数帯域の波動が卓越する地震が余震域の北側および南側において検出された (図1)。 余震域の北側では,同規模の通常の地震に比べやや低周波数成分に卓越する地震が, 深さ10 km付近で発生した (図2)。 一方,余震域の南側では,低周波に卓越し,波の立ち上がりがあまり明瞭でない, いわゆる低周波地震に良く似た地震が深さ10 km以浅に震源決定された (図3)。

   余震域の南側の領域には,2つの深部低周波地震のクラスターが存在し, これらの震源の深さはいずれも20-30 km付近である (図4) が,今回のような 10 km以浅の低周波地震は,この領域では初めて検出されたもので, これまでには検出されていない。今回発生した低周波地震の震央は, 深部低周波地震の2つのクラスターの中間付近に位置している。

(本解析結果は暫定値であり,今後,改訂する場合があります)


● 図1
     2008年6月16日までの余震分布(Hi-net暫定震源)および, 図2図3 において示した低周波地震の震央。
     四角(■) はHi-net 観測点の位置, 星印() は本震の震央を示す。
図1


● 図2
     Hi-net 一関東観測点において捉えられた,余震域北側で発生したやや低周波帯域の波が卓越する地震
     (M4.4,深さ10.3 km),およびその近傍で発生した通常の地震(M4.6,深さ11.7km)の地震波形。
     それぞれの地震について,上から,東西,南北,上下動成分を示す。
図2


● 図3
     Hi-net 最上観測点において捉えられた,余震域南側で発生した低周波地震(M2.1,深さ5.5 km),
     および近傍で発生した通常の地震(M3.4,深さ7.7 km)の地震波形。
     それぞれの地震について,上から,東西,南北,上下動成分を示す。
図3


● 図4
     図1の破線で囲まれた領域において,気象庁によって決定された2000年から本震前までの低周波地震 (黒丸○),
     および,今回の余震活動中に検出された浅い低周波地震(青丸) の震央を示す。
図4




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