| † 2006/12/28 掲載・2007/1/5 修正 |
| ■ 2006年12月26日の地震 |
2006年12月26日5時17分ころ,佐渡島近海を震源とするマグニチュード4.9(気象庁発表)の地震が発生し,
新潟県佐渡市にて震度4の揺れが観測されました.
防災科学技術研究所高感度地震観測網Hi-netのデータに基づいて決定された震源分布を
図1に示します。
本震の震央は佐渡島南西端から北西の沖6kmに位置し,震源の深さは約13kmと推定されています。
広帯域地震観測網F-netデータに基づくモーメントテンソル解処理結果を
図1上に合わせて示します。
このメカニズム解から,断層面の走向はほぼ東西,
P軸(圧縮軸)が南北方向となる逆断層型の地震であることがわかります。
中越地域では,北東−南西方向の走向を持ちP軸が北西−南東方向を向く逆断層型の地震が数多く発生していますが,
今回の地震はP軸の向きが南北であり,それらとは有意に異なっています(図2参照)。
また佐渡島の活断層やリニアメントの走向は北東−南西を向いており(活断層研究会,1991),
今回の地震の走向とは一致しません。
そこで今回の地震活動の原因を考えるために,図3に旧汀線
(地殻活動や海水準変動により現在の海水準とは異なる高度に存在する過去の海岸線)の高度の変形様式
(新編日本の活断層より引用)を示します。
大局的に見ると,佐渡島は北西側の大佐渡山地と南東側の小佐渡丘陵に分けられます。
両者はともに北西部が北西側落ちの逆断層によって境され,
南東方向にブロック的な傾動運動をしていることがわかります。
その一方,南西端の小木半島では,孤立的に隆起する地殻変動が生じています。
図4の海底地形をみると,小木半島の南側の海底では海底崖が存在しており(矢印の位置),
それは小木半島まで続いています。
この海底崖は北側が隆起していて東西走向を持つことから,
もしその海底崖の深部延長で今回の地震が発生したと考えれば,
南北圧縮の逆断層のメカニズムがうまく説明できます。
以上のことから,今回の地震活動は小木半島を隆起させている造構運動に関連した断層面上で発生している可能性があり,
この海底崖は現在も活動的な断層崖なのかもしれません。
(文責:武田哲也)
|
|
| ■ 図1 Hi-netのデータに基づいて決定された震源分布 |
|
|
|
|
|
Hi-netのデータに基づいて決定された震源分布(2000 - 2006)。丸印は震源を示し,
赤丸は12/26以降に発生した地震を示す。図中の左上にF-netデータに基づくモーメントテンソル解を示す。
|
|
|
|
|
F-netデータに基づいて推定されたメカニズム解 (Mj ≥ 3.9)。今回の地震は青色で示す。
期間は1997/7から2006/12まで。
|
|
|
|
旧汀線の高度の変形様式(新編日本の活断層より引用)。単位はm. 小木半島を赤鎖線で囲む。
A : 最終間氷期(T2)の旧汀線高度.矢印は傾動方向,鎖線は小佐渡と小木半島との異なる向きの
傾動境界を示す.断層のうち大佐渡・小木半島のものは推定されるもの(太田ほか,1976)。
B : 完新世段丘の高度分布(田村,1979)。
|
|
|
|
|
星印は本震の震央を示す。矢印は東西に走向を持つ海底崖を示す。
|