Topics 日本海溝近傍のプレート境界浅部で低周波微動を発見 ✏ 2019/6/24 掲載


新たに整備された日本海溝海底地震津波観測網S-netの記録を用いて,十勝沖・三陸沖の日本海溝近傍で低周波微動(※1)を捉え,その発生様式を初めて明らかにしました。低周波微動の発生位置は,巨大地震(1968年十勝沖地震,1994年三陸はるか沖地震,2003年十勝沖地震)の震源域浅部側に隣接し,プレートの走向に沿う帯状の領域内で2つのクラスタを形成します。陸域の観測網の記録を用いて,おおよそ同じ場所で超低周波地震(※2)の発生が報告されており,微動活動はこれらの活動と時空間的に同期していました。また,2つの微動クラスタの間には,明瞭な空白域が存在し,この空白域には巨大地震の破壊開始域や余震活動が分布します。プレート間のすべり挙動が走向方向に強い不均質性を有することを示しており,プレート境界浅部のすべり摩擦特性を理解する上で重要な知見となることが期待されます。

この成果は,2019年5月29日に,米国地球物理学連合(American Geophysical Union)発行の学術誌「Geophysical Research Letters」に掲載され,「Eos Editors’ Highlights」に選ばれました。

論文:
Sachiko Tanaka, Takanori Matsuzawa, and Youichi Asano (2019). Shallow low-frequency tremor in the northern Japan Trench subduction zone. Geophysical Research Letters, 46, 5217-5224. https://doi.org/10.1029/2019GL082817

Eos Editors’ Highlights:
https://eos.org/editor-highlights/shallow-low-frequency-tremors-in-japan-trench (Shallow low frequency tremors in Japan Trench)

本研究は,JSPS科研費JP16H06473の助成を受けたものです。

※1 低周波微動
通常の地震と比べ,低周波(周期0.1〜0.5秒程度)の微弱な振動が数日間継続する現象。高感度地震観測網Hi-netの展開により,世界で初めて西南日本の南海トラフ域で発見された後,世界各地のプレート沈み込み帯で確認されてきました。東北日本の日本海溝域では観測事例がほとんどなく,その発生についてよく分かっていませんでした。

※2 超低周波地震
通常の地震よりも超低周波成分(周期10〜100秒程度)に卓越する振動を伴うゆっくりとした断層すべりによる地震。南海トラフ沿いの超低周波地震は,プレート境界固着域の浅部および深部で低周波微動と同期して発生することが知られています。


.検出された低周波微動の位置(赤丸)。(a)低周波微動は,プレート境界の深さ(灰破線;Kita et al., 2010;Nakajima and Hasegawa, 2006)10〜25 km付近に位置し,空白域を挟んだ2つのクラスタに分かれて分布しています。超低周波地震もおおよそ同じ場所で発生しています。(b)低周波微動の発生場所は,巨大地震で大きくすべった領域(永井・他,2001;Yamanaka and Kikuchi, 2003, 2004)の浅部側に隣接しています。また,微動活動の空白域には,巨大地震の破壊開始域(星印)や余震活動(紫丸,1994年三陸はるか沖地震後7日間,M≥3.0)が分布し,低周波微動はこれらを避けるように発生しています。

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