Topics 2002年11月16日 Hi-netで観測された房総半島の人工地震 ✏ 2002/11/18 掲載
概要

   2002年11月16日未明と17日未明に野島崎から茨城県鹿嶋市に至る房総半島を縦断する測線で人工地震を用いた地殻構造探査が行われました。 これは,「大都市大震災軽減化プロジェクト」 の一環として房総半島における地殻構造を明らかにする目的で東京大学地震研究所によって行われています。 高感度地震観測網(Hi-net)では,その人工地震のいくつかについて, 通常の地震として自動的に検知し自動的に震源決定を行いました。 その他の人工地震についても明瞭に震動波形が記録されており,手動で再験測を行い震源位置を決定しました。

   図1は Hi-netシステムで震源決定された人工地震の位置()です。 は周辺の高感度地震観測点ですが, 人工地震による震動波形はこれらの観測点だけでなく,岩手,長野,静岡などの観測点でも観測されました。

   図2は 図1の最も北の人工地震の観測波形を震央距離順に並べたものです。縦軸は震央距離を表し, 人工地震の震央位置を0kmとしています。 震動波形には2Hzの高域通過フィルタを適用してあり,その振幅はそれぞれの観測点の最大振幅で規格化しています。 横軸は時間を表し,人工地震の発生時刻を0秒としています。振動波形は6.0km/sで震動波が伝播した場合に, その波が図上で縦の直線に並ぶように各観測点で観測された振動波形の時間軸を移動させています。
この図を見ると震央距離約120kmまでは震動波の初動は図上でほぼ直線上に並んでいます。 このことから,房総半島北部の地殻のP波見かけ速度はおおよそ6.0km/sであることが推定できます。 これに対し,120km以遠では縦の直線よりやや早く震動波が到着しており 地殻深部の速度の速い領域を通ってきた波が初動として到着していると考えられます。

   図3は 図1の最も南の人工地震の観測波形です。図の見方は図2と同様です。 この人工地震では震動波の初動の到着が縦の直線よりやや早く,およそ6.8km/sの見かけ速度となります。 このことから,房総半島では南部で北部より地殻のP波見かけ速度がやや速いことが推定できます。 また,震央距離およそ80kmまで縦の直線より大きく遅れて到着する波群が見られます。 この波群の見かけ速度は約1.5km/sであり,相模湾に設置された海底ケーブル, 伊豆大島・伊豆半島等の観測点で観測されています。 これらのことから, 人工地震の震動波が房総半島南端で水中の音波に変換され相模湾を伝播し観測されたものと考えられます。

構造探査の詳細については東京大学地震研究所の 大都市圏地殻構造調査研究計画 のページをご覧下さい。


▼図1


▼図2


▼図3

サイトポリシー  |  ▶データ利用規約  |  ▶お問い合わせ  |  ▶携帯版
防災科学技術研究所では, AQUAシステムなどで決められた即時震源情報のメールによる配信は行っておりません。
データ公開 についてや Q&A にも記載されておりますように, 震源情報の二次配布は当研究所として禁止させて頂いておりますことも合わせてご承知おき下さい。
〒305-0006   茨城県つくば市天王台3-1   国立研究開発法人 防災科学技術研究所
地震津波火山ネットワークセンター   高感度地震観測管理室
Copyright © National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, All rights Reserved.