11.3 古地震・古津波調査

 地震発生の長期予測を行うにあたっては,過去における地震の履歴を知ることが大変に重要です. しかし,近代的な地震観測が始められたのはやっと100年ほど前のことであり, 計測学的な資料が得られる期間は,ほんの最近に限られてしまいます. それよりも古い時代の事柄については,歴史書や日記,あるいは寺院の過去帖などの古文書に頼らざるを得ません.

=== 図11.4 1855年(安政)江戸地震の庶民生活に対する影響を描いた図(東大地震研所蔵の瓦版より) ===
1855年(安政)江戸地震の庶民生活に対する影響
 文書を発掘し,記述の真贋性を吟味した上で, その内容から歴史地震や歴史津波の発生した時と場所と大きさとを推定する作業が続けられています. このような分野の仕事は,「歴史地震学」または「史料地震学」と呼ばれています.

 これに加えて,最近では,古代の遺跡に見られる液状化等の証拠に基づいて, 古い地震の発生状況を推定する「考古地震学」といった分野も発展しつつあります. これらを総称した「古地震学」,すなわち古い地震を調査する仕事は, おもに大学のグループや(旧)地質調査所などによって進められています.

 また,2011年東北地方太平洋沖地震による甚大な津波被害を受け,過去における津波の履歴を調べることの重要性があらためてクローズアップされました。古文書による調査や津波シミュレーションによる過去津波の推定に加えて,過去の津波の痕跡を示す「津波堆積物」の調査などを行う「古津波学」も,大学や(旧)地質調査所などを中心として進められています.




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